音楽

2009年1月15日 (木)

大野雄二リラックスしたピアノトリオの真骨頂

Img_2031 ピアニスト大野雄二の人気シリーズ「LUPIN THE THIRD JAZZ」の最新盤「YUJI OHNO TRIO/For Lovers Only」が久々のピアノトリオでリリースされた。04年の「PLAYS STANDARDS&OTHERS」以来の純粋なトリオ作になる。トリオのメンバーで長く不動のドラマーだった村田憲一郎に代わって大野自身の管入りコンボ「LUPINTIC FIVE」の気鋭のドラマー江藤良人の参加が興味をひく。これは言わばLUPINTIC FIVEのリズムセクションによる作品。06に結成されたLUPINTIC FIVEは有能な若手を率いて活力溢れるジャズを発信し精力的な活動を行っているが、一方でスタンダードを小粋にスウィングして楽しませるピアノトリオも格別だ。一聴して商業主義的な軟弱ジャズと思われがちだが奥が深い。大野トリオの真骨頂はジャズの匠の技にある。何の変哲もないスタンダードだが原曲をストレートにうたい明快なスウィング感と絶妙な歌心に完璧に魅了される。エネルギッシュな激情感とは無縁で、あるのは落着いた豊潤感のある大人のジャズ。レギュラーメンバーの安定感のある珠玉の10曲。中でもG・ミラーの"Moonlight Serenade"B・バカラックの"This Guy's In Love With You"が目新しい。他に"The Shadow Of Your Smile""Sunny""Corcovado""Smile"などのスタンダードに大野の人気曲"LoveBallade"も収録されている。注文がひとつ。ジャケットが最悪で全くジャズ的センスなしの愚作。コンテンツにリンクしたデザインを望む。

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2009年1月14日 (水)

安保徹不滅の名演蘇る

Img_2030 本邦バップテナーの雄、安保徹の不滅の名演を収めたアルバムの旧作が約10年振りに2枚組でリリースされた。「LIVE AT BASH AGAIN ! TORU AMBO」。1999年の初版「I SHOULD CARE/TOHRU AMBO Quartet Live at BASH」では9曲収録されていたが新たに6曲追加された2枚組。安保の実力はもとよりバップテナーの魅力を存分に味わえる極上盤だ。メンバーは安保の他にピアノ、太田寛二、ベース池田きよし、ドラムス、村田憲一郎のカルテットに曲によりヴァイブの武田直哉がゲスト参加する。ワンホーンで豪放にブローする安保のテナーに太田のバップイディオムのピアノは正にモダンジャズの神髄を聴かせる。10年経過しても少しも新鮮さを失わない演奏に感服する。安保のようにジャズの伝統をしっかり継承しジャズシーンの最前線に君臨している事は頼もしい限りだ。このあと安保は2003年にベースのみ変わったカルテットで「MISTY NIGHT」を録音して好評を博し、太田は2001年にNYで久々のトリオ作で話題をさらった。今回の2枚組に追加された6曲は"Lover Come Back To Me"
"Anthropology""If You Could See Me Now""Deep Blue Cello""Hush A Bye""Red Top"
C・パーカー、D・ダメロン、S・ジョーンズらのジャズメンオリジナルにスタンダード。
Img_2029

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2008年12月30日 (火)

ディック・モーガン久々のピアノトリオ盤

Img_2027_2 ディック・モーガンといっても余程古いファンでないと実力の程はわからない。60~61年に名門リバーサイドに残した3枚のトリオ盤が一部のファンに支持されているがその後ジャズシーンから遠ざかったかに見えたが90年代に入って突如として新作がリリースされたがさして注目度は高くは無かった。今年に入ってモーガンの作品が一挙に5タイトルリリースされたのには驚かされた。今回はその中の1枚「DICK MORGAN/Make Someone Happy」。2002年の作品で編成はピアノトリオ。メンバーはモーガンの他にベースは超ベテランで旧友のキーター・ベッツにドラムスにクライド・ルーカス。モーガンのピアノスタイルはブルージーなフィーリングと寛ぎ与えるスウィング感が横溢していて正に60年代のモダンジャズを今に伝える稀有なピアニスト。無味乾燥なジャズが横行する中、モーガンのような真にジャズの魂を感じさせるジャズが健在なのは喜ばしい。全9曲でモーガンのオリジナル2曲にスタンダード中心で肩肘凝らないリラックスした演奏が楽しめる。

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2008年10月23日 (木)

アナログ盤が再興

20081005_567013 最近送られてくるジャズ情報のメールを見ると食指をそそる目玉が見当たらない。注目される物と云えば50~60年代の欧州、米国のアナログ盤の再発や復刻盤になる。それも重量盤と銘打っていてマニアにアピールする。CD全盛期には店頭からアナログ盤が消えたのを思えば昨今のアナログフィーバーの状況は隔世の感を覚える。最近ではアナログ盤に席巻されてCDが隅に追いやられているようにさえ見える。CDの簡便さに慣れた小生にはアナログ盤の面倒な操作は反時代的に映る。CDは盤の表裏の入替え、スタイラスのクリーニング、アームの移動、盤のクリーング液によるの清掃などが不要である所にCDを愛聴する理由がある。アナログ盤の再発、復刻は半世紀前の物が多くマニアックな人以外魅力はうすい。ノスタルジックに浸る事なく21世紀のリアルタイムに進化するジャズを楽しみたいと思っている。

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2008年10月15日 (水)

アンダーレイテッドなピアニストのラリー・ヴコヴィッチ

Img_19821 2006年にリリースされた「STREET SCENE」以来のL・ヴコヴィッチの新譜「LARRY VUCKOVICH TRIO/High Wall」。70才を超えるヴコヴィッチは寡作家だがアルバムはどれも充実した優れものが多い。メンバーは曲によりサイドメンが違う二つのトリオにコンガ、タブラのパーカッションが加わった編成。トリオはラリー・グレナディール(b)エディ・マーシャル(ds)とポール・ケラー(b)チャック・マクファーソン(ds)の2セット。コンガを含めて前作と同一メンバーもいて相性に遜色はない。ヴコヴィッチは地味なため殆んど注目されないが繊細さとダイナミックさを併せ持つ類まれな実力を誇る。パウエル派の流れを汲む名手だが何故か過小評価に甘んじていた。腰の据わったシングルトーンの重みとグルーブ感はモダンジャズの神髄を聴かせる見事なもの。演奏は全12曲。内2曲はボーナストラックで別音源。自身のオリジナル4曲にジャズメンの曲など。特に"黒い瞳””アランフェス協奏曲”などパーカッションをいれた独自のアレンジが新鮮さを呼ぶ。B・ハリスの名曲"Lolita"哀感のあるバッププレイが素晴らしい。オリジナルのバラード"View from Telegraph Hill"やソロピアノ"A Handful of Stars"のリリシズムを湛えた繊細な表現はベテランの実力を示す。ボーナストラックのライブ演奏"Lester's Minor Blues"はダイナミックにスイングしグルーブ感はハードバップの神髄を聴かせる。
2007.12.17,18  2007.12.2(Harf Moon Bay)

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2008年10月13日 (月)

温故知新「横濱JAZZ PROMENADE 2008」終わる

Img_1973 今年の「横濱ジャズプロムナード2008」が終わった。貧乏人なのでダブル券ではなく日付指定のシングル券で参加。昼から始まって夜9時近くまでいたがそれほど長くいたとは感じなかった。当初の巡回計画とは行かなかったが大体目当てのグループは聴けた。今回はインスト中心と決めていたので峰厚介4、渡邉典保4、八城邦義プロジェクト、今田勝3、中牟礼貞則4の5グループ のベテラン中心になった。八城のグループは”トImg_1969_3 リビュート・ツー・リー・モーガン”と銘打って松島啓之と高瀬龍一の2トランペットの迫力あるサウンドが見事で若手の溌剌とした演奏が良かった。渡邉4はパーカーライクなアルトが一際光りハードバップの王道を聴かせた。今田3は久し振りにオーソドックスなプレイを聴いたがベテランの安定したそつの無い演奏だが新鮮味は感じなかった。中牟礼4はピアノレスのサウンドに新鮮さが感じられた。ジム・ホールとポール・デスモンドを彷彿させる見事なコラボレーションが印象的で5グループの中では一番良かった。ジャズクラブものぞいたが店内が狭いため満杯状態で立錐の余地もないため止めた。ジャズクラブは大イベント時の聴衆をさばくには向いていない。その点ホールはジャズ向きではないが座って聴く事が出来るので小生のような後期高齢者予備軍には好都合でかなり盛況だった。

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2008年10月12日 (日)

ワンホーンが似合うベニー・ベイリー

Img_1965 長く欧州を拠点に魅力的なアルバムを数多く残したトランペッターのベニー・ベイリー。晩年はドイツのレーベルを中心ワンホーンによる演奏が多くある。今回はそのワンホーンのアルバムから「BENNY BAILEY/FIRM ROOTS」。メンバーはBenny Bailey(tp),Wolfganb Kohler(p),Frits Kriss(b),Clarence Becton(ds)のカルテット。ベイリーとは何回かセッションを行っているメンバーもいる。ベイリーのトランペットは力みが無く温か味のある音色といぶし銀のミュートに特長がある。モダンの鋭いアタックや革新性には欠けるもののリラックスしたぬくもりのあるサウンドは比類がない。ここでもマイペースで寛ぎの味とモダンなハードドライブの一面をのぞかせてベテランの魅力を発揮する。気鋭のリズムセクションの好演が一際光る。曲は全8曲でベイリーがしばしば取上げた曲で自身のオリジナル1曲にジャズメンオリジナルにスタンダード。"Memories of You"はリラックスしたムード満点の演奏は心に残る。"In aMellow Tone"ベースをバックにミュートプレイを聴かせる。ダメロンの名曲"If You Could See Me Now"朗々と歌い上げるバラードプレイはベテランの魅力。マイルスの"Solar"ピアノトリオの演奏からベイリーのミュートプレイが入り最もモダンな演奏。オリジナル"Kansas City Statement"はアーシーで溌剌とした演奏が見事。これは気軽にジャズを楽しくには最適なアルバム。
1998.11.1

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2008年10月11日 (土)

SAPHUレーベルのトニー・パシニ

Img_1964 米西海岸のオレゴン州ポートランドにある"SAPHU"レーベルは地味ながら洗練された質の高い作品をリリースする。最近でもJEF LEEのピアノトリオによるライブ盤は好評を博した。今回は一般受けしないが確固たる実力を誇る、東京生まれのピアニスト、トニー・パシニの「Tony Pacini/I'll Close My Eyes」。メンバーはパシニの他ベース:エド・ベネット、ドラムス:ティム・ラップのレギュラートリオ。SAPHUにある3枚のうちの最初の作品。以前に3枚目にあたる2006年のライブ盤を紹介した事がある。パシニの特長はジャズの伝統に根差したオーソドックスなスタイルで軽薄な所がなくどっしり地に付いて安定した演奏はベテランを思わせるものがある。全13曲。自身のオリジナル5曲にスタンダード。オリジナル曲はきれいなな曲が多く作曲に非凡さが感じられる。緩急をつけた選曲とグルーブ感は魅力的であり卓越したテクニックが冴えて聴き応えのある作品といえる。タイトル曲はリバーサイドのB・ミッチェルの演奏を思い出すが無伴奏のイントロからインテンポにはいる所は類が無い。オリジナル"Pastel For Two""Song For Marci"は美しいメロディのバラードで繊細な表現が印象的な演奏。ルグランの"You Must Believe In Spring"はエバンスの演奏で知られるがパシニはメロディをストレートにじっくり弾いてこの曲の持つ美しさを浮き彫りにして締めくくる。
2000.6.28,29 Oregon

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2008年10月 8日 (水)

ジャズは復刻、再発盤が盛ん

Img_1963 この所のジャズソフト界の現況を見ると定番の新譜紹介の他に国内外の過去のマイナーな音源の復刻、再発盤のリリ-スが相次ぎノスタルジックムードの高まりと相まって隆盛を誇っている。今回は本邦で絶大な人気を誇る故オスカー・ピーターソンのその部類に入る1枚で2008年米LONEHILLJAZZの「OSCAR PETERSON TRIO/LIVE IN MONTREAL 1965」。ピターソンはヴァーヴ、ライムライト、MPS、パブロ、テラークなどからのリリースが多いがこれはクレジットもなくオリジナル音源の出所は不明だが録音は極めて良好。メンバーはピーターソンの他ベース:レイ・ブラウン、ドラムス:ルイ・ヘイズで生地カナダでのライブ盤。ドラムのエド・シグペンからルイ・ヘイズに代わった直後の演奏と思われ翌年にはベースがサム・ジョーンズに代わっているのでこのCDのメンバーの活動期間が極めて短くこれは数少ない1枚。この後ピーターソンはメンバーの変動と多様な編成が主流に変貌を遂げていく。演奏はいつものピーターソン節で安定した豪快なスイングが堪能できる。ルイスもさすがに大物、シグペンに劣らぬブラッシュワークを展開し見事にトリオにフィットしている。曲は全10曲。
1965.8.25 Montreal

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2008年10月 6日 (月)

バップスタイルを継承するSTEIN BROTHERSのデビュー盤

Img_1927 ジャズ界には兄弟で活躍したグループが結構いる。古くはC・アダレイ、H・ジョーンズ、C・マンジョーネ、C・カンデリ、J・ヒースらの兄弟はジャズ界を風靡し、実力と人気を誇った面々。今回取上げるテナー、アルトのステイン兄弟のデビュー作2008年Jazzed Media盤「QUIXOTIC/THE STEIN BROTHERS QUINTET」。典型的なバップスタイルを継承する若きグループ。メンバーは知名度はないがAsher、Alex兄弟の他リズムセクションのクインテットを母体に4曲にトランペットとトロンボーンがが加わった編成。stein兄弟は2001年に活動を開始したようだがCDは今回は初デビュー。演奏スタイルは2管を中心にユニゾンでテーマを奏でアドリブソロとかけあいなどオーソドックスなスタイルでサウンドに革新性はない。個性と迫力には欠けるが時として新鮮味が感じられる。ソロイストではアルトのAsherの音色とスムーズなアドリブラインの旨さが傑出していて注目される存在。テナーのAlexはゴードンスタイルの豪放さが特長。曲は全12曲でメンバーのオリジナル8曲にスタンダードなど4曲。ミディアムテンポの曲やバラードプレイも若々しくデビューの新鮮さが感じられる。伝統を重視した王道の演奏はいつ聴いてもジャズ魂が目覚めてしまう。次作はゲスト抜きのクインテットでの演奏を期待。
2007.4.28,29

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