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2008年8月

2008年8月20日 (水)

青木弘武快心のベスト盤

Img_1853 これは最近リリースされたピアノトリオ盤では傑出した1枚に挙げられる青木弘武の快心の一作。青木は一部で実力を高く評価されている主流派のピアニスト。昨年7月満を持して録音したリーダー作で青木のベスト盤といえる「HIROMU AOKI/The Best Thing For You」。メンバーは青木の他二人の本邦馴染みの米国ジャズメン。ベース:スタン・ギルバート、ドラムス:カール・バーネットのピアノトリオで青木の個性を知るには格好のフォーマット。青木のピアノを最初に聴いたのは83年録音のTBMからリリースされたドラマー大隅寿男名義のトリオ盤”ウォーターメロン・マン”。活きの良い溌剌とした演奏が印象に残り青木の存在ぶりを示した作品。一貫してオーソドックスで楽しさを内包しダイナッミックにスイングするスタイルは不変。ジャズに難しさはいらない青木のように理窟抜きにひたすらスイングする事だ。全14曲で1曲当たり4分から6分程度と適度にまとめられ冗長さを感じ無いのが良い。青木のオリジナル3曲にスタンダード中心なのも聴き易い。アップテンポのスイング感、バラードの芳醇感、オリジナルの"BOWAKO"は郷愁を思い綴ったもの。ピアニカで奏でる"Some Kind Of Prayer"はピアニカの必然性は感じない。タイトル曲"The Best thing for you"はミディアムテンポに乗ってダイナッミクにスイングする魅力的な演奏。他に"On Green Dolphin Street""Going Home""Falling in love with love""Dreamy""Alone Together"など。

2007.6.5,6

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2008年8月19日 (火)

デンマークの精鋭クインテットの力作

Img_1851 ヨーロッパのジャズ先進国デンマーク。今回はデンマークのベテランの精鋭によるネオバップアルバム「Bolberg Markussen Quintet/Final Call」。40~50代の油の乗ったフロント陣の双頭クインテット。トランペット:ヘリンク・ボルバーグ、テナー、バスクラ:ウエッフェ・マークセン、ピアノ:ベン・ベイシャコフ、ベース:アンダース・クリステンセン、ドラムス:フランズ・リフジャーグというデンマークの2管クインテット。フロントの二人はデンマークでは人気、実績を誇る尊敬された名手で来日経験もある。ホルバーグは80年代にデンマークの新主流派の雄”ページワン”に在籍した逸材。マークセンは最年長でデンマークの重鎮的存在。ステープルチェースにリーダー作のあるベイシャコフの安定感は見逃せない。スタイルは新主流派の新鮮なサウンドが支配する。ボルバーグのブリリアントでイマジネイティブなソロが実力の高さを物語る。太く逞しいテナーがジャズの緊張感をあおりベテラン達の古さを感じさせない演奏に脱帽する。オープニングのケニー・ドハムの名曲"SHORT STORY"ではハードバップ路線を踏襲しながらソロの新鮮さが魅力。残りの6曲は全てボルバーグとマークセンのオリジナル。中でも14分に及ぶボルバーグの"Acid Rain"はバスクラを吹くマークセンの本領発揮の演奏で聴き応えがある。ベイシャコフ以下のリズムセクションのバッキングも見事。
2002.2.7,8

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2008年8月18日 (月)

リック・ローの最新作はソロピアノ中心

Img_1850_2 ピアニストリック・ローを最初に聴いたのは96年UnKnownレーベルの「the CHANGEOVER」スタンダードとオリジナルを二分した選曲で楽しませた。ローはこのレーベルから6枚リリースして知名度も上がりドル箱的存在。今回もUnKnownの07年録音の最新作「RICK ROE/MINOR SHUFFLE」。ローの最新ピアノトリオ盤と思って買ったがあてが外れた。裏のクレジットがピアノトリオの表記、中のライナーにしかトリオかソロピアノの録音日が記されていないのは買わないと分からないので不親切。実際はピアノトリオ3曲にソロピアノ11曲でローのソロピアノを聴くCD。今迄はピアノトリオだったので視点を変えてローの違った側面を示したかったのだろう。ローのピアノはオーソドックスにスイングしすんなり溶け込める中庸のピアニストだがのCDはソロピアノ中心なので 個性が出ているとは言えない。ソロピアノの11曲は退屈する。ローの魅力を伸ばすにはピアノトリオが良い。ソロピアノ好きには良いが他には薦めない。
2007.1,7,8

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2008年8月17日 (日)

大給桜子快心のバラード集

Img_1849 70年代から80年代の本邦の女流ジャズピアニストは木村純子や、根本慶子、甲斐恵美子らがメジャーで活躍していた時代。そんな中、ひときは存在感を示したのが97年に逝去された大給桜子。今回は彼女が放った渾身の力作82年の「SAKURAKO BALLARD NIGHT」。メンバーは大給の他ベース:小杉敏、ドラムス:西川喬昭のピアノトリオ。強靭のベースを誇る小杉に正確無比の西川という最強トリオ。大給はRVCのカーニバルレーベルから何枚もリーダー作をリリースしているがドラムは常に西川が叩いている。大給のピアノは力強いタッチ、メリハリのアあるフレージングにダイナッミクなスイング感のどれもジャズ魂に溢れた見事なもの。今のジャズシーンは百花繚乱の女流ピアニストの乱立,内外から次々にリリースされるトリオ盤に評価は玉石混交で食指は動かない。大給の等身大の真摯なピアノスタイルは魅力が溢れている。曲は全8曲。大給のオリジナル2曲にモンク、ゴルソン、シルバーのジャズメン3曲にスタンダード3曲。"Whisper Not"は単純なバラードではなくミディアムテンポのスインギーな演奏。"Round Midnight"は情感を湛えた渾身のプレイ。"Nica's Dream"は緩急織り交ぜた聴き応えのある演奏。大給の最晩年の作品は97年5月の自主制作でピアノとベースのデュオアルバム。

1982.8.18,19

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2008年8月16日 (土)

ドシミルのペッパー・アダムス渾身のアルバム

Img_1848 バリトンサックスはトランペットやテナー、アルトサックス華やかさに比べ地味に映る。ジェリー・マリガンが突出して取上げられるがセシル・ペイン、ニック・ブリグノラ、サシブ・シバブらバリトン奏者の味わい深い演奏も無視出来ない。今回はゴリゴリの低音の切れ味鋭いペッパー・アダムスのenja盤「Julian/PEPPER ADAMS」。75年ドイツのドシミルでのライブで2枚に分散されてリリースされた1枚。メンバーはアダムスの他にピアノ:ウォルター・ノリス、ベース:ジョージ・ムラーツ、ドラムス:マヤカ・ウンショコのカルテット。とかくアダムスというといつも60年代のドナルド・バードとの双頭コンボのブルーノート盤が挙げられるがむしろアダムスは70年代以降の演奏に彼の真骨頂が発揮されている。アダムスの魅力はマリガンのように洗練されず泥臭くジャズ的な所にある。低音を効かせたモダンなサウンドは迫力に満ちバリトンジャズの魅力を存分伝える。いつもオーソドックスに正面突破していつの間にかアダムスカラーに染まってしまう。自身に満ちた堂々たる怒涛の切れ味こそアダムスの真骨頂といえる。曲は全8曲でアダムスのオリジナル3曲にサッド・ジョーンズの3曲が目を引く。全般にスインギーな中庸を往くモダンジャズ。リズムセクションではノリスのバップサウンドを加味した見事なバッキングが華を添える。これは70年代のアダムスの代表作。曲は"JULIAN""SPACEMAKER""AD ASTRA""THREE AND ONE" TIS"など。
19758.13 DOMICILE, MUNICH

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2008年8月15日 (金)

リラックスしたジュニア・マンスの快演盤

Img_1847 50~60年代のモダンジャズ黄金期を支えた巨匠達が次々に物故する中、この時代の一角を担った華麗な楽歴を誇るピアニストのジュニア・マンス。今でも現役で活躍し最近でも06,07年の新録をリリースして健在振りを示している。今回は94年「Blue Mance/The Junior Mance Trio」。メンバーはマンスの他ベース:キーター・ベッツ、ドラムス:ジャキー・ウィリアムスでベテランの気のあった仲間のトリオセッションはマンスの得意とするフォーマット。マンスというと真っ先に挙げられるアルバムがヴァーブ、リバーサイド、ジャズランドの諸作で50~60年代初期の作品。ジャズはリアルタイムで動く。新しいマンスの演奏には過去とは違った人生の枯れた味わいも魅力の一つ。このCDでも1曲のタイトル曲のオリジナルを除けばマンスが得意としているおなじみのナンバーが並ぶ。粘っこいブルースフィーリングや随所に見せるグリサンドがジャズムードをかきたてる。保守的では片付けられないジャズのエキスが詰まった極上のフィーリングはジャズの歴史を歩んできた重みといえる。全10曲"Falling In LOVE With Love""Emily"Teach Me Tonight""Blue Mance"など緩急織り交ぜたマンスの卓越した演奏が聴ける。
1994.5.18

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2008年8月14日 (木)

スパイク・ロビンソン充実の80年代の代表作

Img_1846 レスター派のテナー奏者スパイク・ロビンソンは癒し系の最右翼に挙げられるジャズマン。50歳を過ぎてから好きなジャズの世界に身を投じただけあって自己のスタイルをぶれることなく終始貫き通した。米国生まれながら英国で活動しHEPレーベルから数々のリーダー作をリリースしてロビンソンの個性を広くアピールした。今回は米CAPRIレーベルの1985年の最も充実期の演奏「SPIKE ROBINSON/Spring Can Really Hang You Up The Most」。メンバーはロビンソンの他ピアノ:テッド・ブリーメン、ベース:ピーター・インド、ドラムス:ビル・エイデンというロビンソン得意のワンホーンカルテット。ベースのインドが主宰するThe Bass Clefでのライブ盤。いつものリラックスし、スムースで流れるようなテナーでのびのびとスイングするスタイルは不変。理屈抜きに楽しめる。曲は全9曲で映画、ミュージカルなど知られてナンバーの選曲が好ましくリズムセクションの好演と相まって充実した一枚。
1985.7.17England

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2008年8月13日 (水)

和製T・フラナガン寺井尚之のデビュー盤

Img_1843 ジャズピアニストのトミー・フラナガンは本邦で最も愛された一人。日本人の心の琴線に触れたピアノを弾いて感動させた。そのフラナガンの高弟として全国に知られたピアニストが大阪を拠点にする寺井尚之。寺井の初リーダー作は韓国の”ハニルレコード”からリリースされた「anatommy/HISAYUKI TERAI TRIO」。トリオのメンバーは全て地元大阪で活動しているジャズメン。寺井は自身がオーナーのクラブの名前は”OVER SEAS"、立ち上げたレーベルが”Flanagania”と徹底的にフラナガンに拘りを見せる。このリリースの後自身のレーベルから5枚のリーダー作を制作し存在をアピールした。そのフラナガンも2001年に物故しファンを失望させた。フラナガンを一口に表現すると”メジャーなのにメジャーぶらない所”ではないか。寺井のピアノはフラナガンのようにけれんみが無く率直にストレートに表現している所。長くうねる様なアドリブラインに特長がありアクセントの単調さが気になるが美しいメロディックなアドリブは秀逸。全10曲でフラナガンの曲と編曲がフラナガンにた捧げた入魂の演奏。これは寺井が長年蓄積したフラナガンへの敬愛を満を持して制作した作品。"OUR DELIGHT""RIPPLES""ECLYPSO""DENZIL'S BEST""TIN TIN DEO"などハッタリのなり寺井の等身大の演奏に引き付けられる。
1993.11.3  Seoul

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2008年8月12日 (火)

フランク・ストラッゼリ出色のトリオ盤

Img_1842 サイドメンでは完全に脇役に徹して見事なバッキングでフロント陣を盛り立てるピアニストのフランク・ストラッゼリ。90年代FRESH SOUNDにある数々のトリオ盤から米国録音の「funk & esoteric/the frank strazzeri trio」メンバーはストラッゼリのピアノ、ベース:ジョン・ハード、ドラムス:ローレンス・マラブルでマラブルは50年代から活躍する名手。ストラッゼリは60年代初頭から西海岸で活動し名演のサイドメンで参加しているが地味な存在。カーメル・ジョーンズのパシフイック盤、レッド・ミッチェルとハロルド・ランドの双頭コンボのアトランティック盤、さらにアート・ペッパーの私家盤などで存在感を示した。渋いいぶし銀のストラッゼリにフレッシュサウンドは熱心にサポートして大分名前が浸透し、リリースされた作品は皆佳作揃い。シングルトーンの美しさと良く唄う、けれんみのないスタイルは正にジャズの王道を往くもの。この作品ではジャズメンの曲を多く取上げハードバップを全面に出した意欲的作品。流れるようなスムーズなアドリブラインとマラブルの見事なドラムが一体化しジャズのエキスが一杯に詰まった演奏は爽快感がある。全10曲でH・モブレー、JJ・ジョンソン、アル・コーン、B・カーター、D・エリントンらのジャズナンバーにスタンダードを配した聴き応え十分の選曲。」"TIN TIN DEO""KELO"からストラッゼリがスインギーに唄う。"FUNK IN A DEEP FREEZE"はファンキー色の出た演奏。"SUMMER SERENADE"はスローでジックリ歌い上げる。

1991.5.23 Hollywood

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2008年8月11日 (月)

光井章夫と仲間たち

Img_1839 トランペットにヴォーカルと独特の個性を持ち長く第一線で活躍を続け,人気実力を誇る光井章夫。今回は日本クラウンの"The Best Friends"シリーズの中の一枚「Akio Mitsui and the Best Friends」。ジャズのジャンルに捉われずにオールラウンドにこなして明るくある時はレイジーに表情豊かに歌い上げる術は光井ならではの個性で他の追随を許さない技量の持ち主。このCD、光井を中心に6人編成で曲によりメンバーが替わる。メンバーの内5人は戦前生まれ、戦後生まれはピアノの高浜和英一人。つまりジャズの初期からプレイし歴史と共に歩んできた歴戦練磨のベテランジャズメンが参加している。テナー:芦田ヤスシ、クラリネット:花岡詠二、トロンボーン:松岡優慈、ベース:根市タカオ、ドラムス:近藤和紀。光井のペットとヴォーカルの全貌が収めれれ光井の魅力が存分に聴ける。激しさや力強さよりも理窟抜きに楽しさやほのぼのとした安らぎが広がり古き時代の郷愁感じさせる演奏。曲は全11曲で10~30年代の古い曲を取上げてデキシーやスイング風の演奏に光井のヴォーカルを挟みリラックスの中にスイングする楽しさ満載の演奏。"When You're Smilling""Lazy River""It's A Sin To Tell A Lie""I'm Confession" "Boogie Woogie""After You've Gone"など。
1998.1.14

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2008年8月10日 (日)

ジョージ川口晩年の作品

Img_1835 日本のジャズ史を語る上で絶対に欠かす事が出来ない偉大なコンボ”ジョージ・川口とビッグ4”。メンバーの変遷を経て半世紀に及ぶトップコンボの地位を維持し、ジャズの発展に尽くした功績は不滅といえる。今回はジョージ川口の晩年の作品「Big Apple/George Kawaguchi New Big4+1」。メンバーはトランペット:岡野等、テナー:中村誠一、ピアノ:市川秀男、ベース:水橋孝のビッグ4プラス1のクインテットで本邦を代表する錚々たるプレヤー。これらのメンバーはレギュラー活動しているような気心の知れた仲。ビッグ4は常にジャズの伝統に根差してオーソドックスでジャズ魂が横溢した迫力のあるジャズを信念としている。決してイージーではなくソロイストの創造性を引出している所がリーダーの力量。ジョージのパワフルなドラミングは迫力満点で釘付けにされる。曲は全12曲でジャズの名曲ヒット集といえるもの。岡野、中村のフロント陣と市川のピアノの見事なソロはハードバップの醍醐味を存分に味わえる。活きのいい主流派ジャズはいつ聴いても爽快な気分になる。
2000.5.9

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2008年8月 9日 (土)

B・ハリスのリラックスしたクラブセッション

Img_1834 バリー・ハリスは本邦でも最も人気のあるピアニストの一人。バップピアノの神髄を今に伝える貴重な存在。ジャズ史に残る数々の名演は燦然と輝き今でも円熟と風格を備えたピアノは芸術的といえる。ハリスのCDは特定なレーベルに拘らず世界の色々なレーベルからリリースされその何れも傑作に値するアルバム。今回は95年来日時の「Barry Harris Live at "DUG"」。著名な写真家中平氏のクラブでのライブ。メンバーはベース:稲葉国光、ドラムス:渡辺文男のトリオフォーマット。稲葉は最近名を聞かなくなったが一頃は超人的活躍をしていた。渡辺はバップドラマーの第一人者で最近新譜をリリースして気を吐いている。この二人,まさにハリスをサポートするにはうってつけの布陣。ハリスはインティメイトな雰囲気でリラックスし、自然体のプレイが真価を最高に発揮するタイプ。ここでも気負わず淡々と自己のペースで弾きこなすあたり百戦錬磨のベテランの風格といえる。曲は全10曲。ハリスのオリジナル2曲にジャズメン5曲にスタンダード3曲の構成。1曲目オリジナル"Luminescence"からハリスの世界に導かれる。パウエルの"Oblivion""No name Blues"で本領発揮の演奏。"Cherokee"はアップテンポに乗って強力なスイングが圧巻。"I Got Rhythm 、Rhythm A Ning"はハリスの持ち味が存分に出た白眉の演奏。

1995.529

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2008年8月 8日 (金)

塚原小太郎は自主制作盤に限る

Img_1833 以前非凡な才能を持ったジャズピアニストの塚原小太郎を紹介した事があったがバップの巨匠バド・パウエルを指向する本邦最高ジャズメンの実力は正当に評価されているとはいえない。数々あるリーダー作の殆んどはマイナーレーベルか自主制作だ。今回も92年の自主制作「SPRING BLUES/THE KOTARO TRIO」。新潟の地方都市で塚原を支援する組織による手作りで草の根の感触が伝わる作品。メンバーは塚原の他ベース:奥田充、ドラムス:原口有生のトリオ。ベースの奥田は塚原と古くから共演している盟友。塚原の演奏を最初に耳にしたのはやはり自主制作のアナログ盤で79年の「MON TONALITY」というユニークなタイトルはリーダーのいない3者対等のグループ名。北海道芦別の自主制作で塚原の見事なバップピアノに魅せられてから良く聴くようになった。このCDでも塚原の腰の据わった重厚なピアノが縦横無尽に響く。安定したバップサウンドが全体を支配し緊張感が伝わってくる。良く多音をチャラチャラと鳴らし心に届かないピアニストもいるが塚原のピアノは一音一音に無駄がな心に響く。全13曲でタイトル曲は塚原のオリジナルの他はジャズメンやスタンダード。パウエルの"John' Abey"のアップテンポでパウエルライクなスピードが圧巻。"My Heart Stood Still"でイントロから4ビートのテーマからダイナミックな乗りは塚原の真骨頂。"Spring Blues"は古典的なブルースというより新感覚な解釈が新鮮味を与える。"Perdid"は塚原の真価が発揮された見事な演奏。
1992.12.12 Tohkamati

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2008年8月 7日 (木)

ニック・ウェルドンのソノラに感動

Img_1832_2 イギリス出身のジャズピアニストといえば古くはジョージ・シアリングやヴィクター・フェルドマンらとスタント・レーシー、ブライアン・レモン、エディ・トンプソンやデヴィッド・ニュートンら実力者の名が挙げられる。米国で活躍した人を除けば知名度は限られているがジャズの本質をついた正統派のピアニストが多い。今回は俊英のニック・ウェルドンの「Nick Weldon Trio/live at the Albert」。94年の前作”ラベンダーズ・ブルー”と同一メンバーでウェルドンのほかベース:ポール・クラーヴィス、ドラムス:アンドリュー・クレインダートのトリオ。前作の名演ハンプトン・ホーズの名曲"SONORA"の演奏が人気を呼んだがこのライブでも再演していて余程気に入っているのだろう。確かにこの曲メロディの美しさとワルツタイムのマッチングが絶妙でホーズの作曲の才能を示すもの。ウェルドンのピアノはエバンスタイプで熱くならず陰影のあるシングルトーンで淡々と自己のペース引き込んで往く。クラービスのブラッシュワークに支えられてスムースなアドリブラインでひたすらスイングする。曲は全5曲でホーズ以外は全てスタンダードで各10分を超える長尺演奏はライブならではのもの。"FOLLING IN LOVE WITH LOVE""YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS""LOVE FOR SALE"などどれもウェルドンの独自の解釈で展開され見事にスイングしていて楽しめる。
1999.5.16

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2008年8月 6日 (水)

暑い季節はメルボインのピアノがいい

Img_1831 この所猛暑で都会のヒートアイランド現象をもろに実感している。地方での暮らしはクーラー無しで過ごせたが都会ではクーラー無しでは安眠出来ない。都市の温暖化の緩和のためにも”グリーン・カーテン”や”屋上緑化”を施して周辺温度を少しでも下げる事を考えないと快適な暮らしは望めないと思うようになった。こうした暑い時は肩肘張らないリラックスしたジャズが向いている。60年代初頭コンテンポラリー盤のサイドメンとして名を連ねていた地味の最たるピアニスト、マイク・メルヴォインの最新作と思われる「MIKE MELVOIN TRIO/YOU KNOW」。メンバーはメルヴォインの他ベース:トニー・デュマ、ドラムス:ラルフ・ペンランドという派手さはないが実績のある名手達。中ではデュマがA・ペッパーののコンボで活躍していたメンバーデ馴染み深い。メルボインのピアノは大ベテランの風格で今更新しさはなくともオーソドックスに難解さを排してジャズを淡々と弾きこなし気持ち良くスイングしているのが好感が持てる。クセのない白人特有のサッパリしたピアノに清涼感が伝わる。全11曲。メルヴォインのオリジナルなど5曲にスタンダード5曲とコルトレーンの1曲。1曲目の"LONG AGO AND FAR AWAY"は4ビートにのって快適にスイングする。"BLUE SKIES"ベテランの安定感のあるピアノは説得力があり名演。全般にベース、ドラムはサイドメンに徹し趣味の良いバッキンブに終始してメルヴォインを鼓舞する。"I'LL BE SEEING YOU"は美しいメロディから情感を湛えた見事な演奏が印象に残る。メルヴォインもまだ健在を示した。

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2008年8月 5日 (火)

アレックス・リールの人気作

Img_1830 ヨーロッパを代表するジャズメンの一人はデンマーク出身のドラマーアレックス・リールに異論はない。70歳に届こうという年齢ながら新作をコンスタントにリリースして存在感を示している。今回は2005年の人気作「「THE HIGH AND THE MIGHTY/ALEX RIEL TRIO」。メンバーは前作と同じアレックスの他、ピアノ:ハイネ・ハンセン、ベース:イェスパー・ルンゴーのトリオ。ルンゴーとは旧知メンバーで抜群のコンビネーションが売り物でこのトリオの推進力。最近ではスウェーデンのヤン・ヤングレンのトリオでも著しい活躍をしている。アレックスは60年代から欧州や米国の渡欧組と共演して数々の名演をサポートして実力の高さは世界的に折り紙つき。このCD、特別に特長を持っていないが保守的で安定した中庸を往くジャズ。ハンセンのピアノもエバンス程地美的でなくセンシティブで美しいシングルトーンで独自の世界を築く。趣味の良いアレックスらのバッキングが価値を固めている。曲は全11曲。ハンセンのオリジナル1曲の他、お馴染みのスタンドードが並び親しみ易い選曲が魅力。"LONG AGO AND FAR AWAY""EMILY""BODY AND SOUL" "SMILE"など一気に聴いてしまう。録音はライブにしては熱気よりもクールな感じがしてもっと迫力があって良い。

2005.10.15 Denmark

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2008年8月 4日 (月)

ハードバップの神髄、ハーパー・ブラザーズ

Img_1829 80年代後半にハーパー・ブラザーズといういう若く溌剌としたハードバップグループが存在しジャズ界に活力を与えた。今回は彼らの2枚目のリーダー作「Harper Brothers/Remembrance Live at Village Vanguard」。ドラムのウィナード・ハーパーとトランペットのフィリップ・ハーパーの兄弟を中心にしたグループ。他のメンバーはアルト:ジャスティン・ロビンソン、ピアノ:ステファン・スコット、ベース:北川潔のクインテット。北川は今や世界的なベーシストとして評価されているが渡米後技量を認められてレギュラーグループに抜擢された。60年代に”ジャズ・ブラザーズ”という兄弟のコンボが活躍し数枚のアルバムをリリース人気を博したがそれらを彷彿させるコンボ。録音されたヴィレッジ・バンガードは過去に一流ジャズメンの歴史に残る名演を残してきたクラブとして知られている。ハーパー・ブラザーズの演奏もこれらに匹敵する演奏を展開する。ジャズの伝統を保持しながらジャズの神髄を内包しハードバップを端的に表現した力量は見事。のびのびと奔放にブローする迫力ある演奏はハードバップの魅力をダイレクトに伝えるもの。全11曲。メンバーのオリジナルとスタンダード。2管によるユニゾンのテーマからアドリブの展開というハードバップの典型スタイル。フィリップのブリリアントなソロやロビンソンのマックリーンを思わせる情感を湛えたソロがビビッドに伝わる。またスコットのシングルトーンの明快なタッチが光る。今となってはハーパー・ブラザーズのようなモダンジャズの根幹を指向するグループが消滅した事は惜しみても余りある。
1989.9.8,9 Village Vanguard

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2008年8月 3日 (日)

古谷充40周年記念アルバム

Img_1828 関西を中心に多方面で幅広く活躍するアルト奏者で作編曲者の古谷充。昭和ジャズ復刻ブームの波にのって60年代のレアなリーダー作が復刻されて古谷の実力が再認識されている折、アナログの限定盤まで再発されレア度は急上昇。音楽生活50年を過ぎた大ベテランながら精力的に活動する意欲には敬服する。今回は古谷の40周年記念としてニューヨークで米国ジャズメンらと共演したアルバム「TAKASHI FURUYA IN MANHATTAN」。メンバーはピアノ:ケニー・バロン、ベース:北川潔、ドラムス:ウィナード・ハーパーのワンホーンカルテット。古谷はアルト、ソプラノの他ヴォーカルもフィーチャーし古谷の全貌を記録したものといえる。名手K・バロン以下の強力なリズムセクションは古谷にとっても願ってもないセッションで期待通りの力演。アルト本来の美しい音色とバップサウンドが溶け合って古谷の円熟したワンホーンジャズが聴ける。緩急織り交ぜた選曲は40年の経験の全てを発揮した演奏には気迫がせまるものがある。曲は全10曲。古谷のオリジナルブルース1曲に日本民謡1曲とジャズメンやスタンダードが占める。得意のヴォーカルも最後に1曲披露する。"BLUES FOR MANHATTAN"アップテンポのブルースナンバーでリラックスした古谷が豪快にスイングする。"BODY AND SOUL"はスローバラードは円熟した古谷のテクニックが光る。ソプラノで吹くひえつき節でのモーダルな演奏は現代的なサウンド。最後のバロンとのヴォーカルデュオの情感を湛えたバラードもよくバックのバロンの好演が光る。
1995.3.26,27 NY

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2008年8月 2日 (土)

DearBluesのデビュー盤

Img_1827 毎年全国から実力を持ったジャズメンがデビューする。今回は名古屋を拠点に東海地方で活躍するDearBluesのデビュー盤「Dear Blues/Three Cats View」。この6月に地元のマイナーレーベルからリリースされたホットな作品でデビュー盤として傑出した1枚。メンバーは地元のジャズメンでピアノ:中嶋美弥、ベース:名古路一也、ドラムス:山下佳孝のトリオでリーダーはいない。ブルースを愛するというユニークなネーミングも端的でいい。名古屋というと納谷嘉彦や後藤浩二、水野修平らのメジャーな優れたピアニストの名が浮かぶが中嶋にもその期待が膨らむ。デビュー盤というと何かと力が入って日頃の本来の良さが陰を潜めてしまうものだがこのグループは過剰な力みは何ひとつ感じられず自然体なプレイがいい。ジャズの伝統を継承し明快なスイングと豊かなブルースフィーリングを兼ね備えた演奏は貴重で賞賛される。以前から地元で一流ジャズメンとのセッションを重ねている経験が自信になっているのだろう。曲は全10曲で中嶋のオリジナル3曲にジャズメンオリジナル4曲とスタンダード3曲の魅力ある選曲。一曲目のジュニア・マンスの"Smoky Blues"の稀にみる粘っこいブルースフィーリングに引き込まれる。中嶋のオリジナルも美しいメロディで馴染み易く作曲の非凡さを感じるし腰の据わったバラードプレイも見事。
2008.2.6,7

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2008年8月 1日 (金)

ウルフ・アダカーのマイルス作品集

Img_1826 スウェーデンのベテラントランペッター、ウルフ・アダカーのジャズ巨匠シリーズと言うべき一枚「MILES BY FIVE/Ulf Adaker」。メンバーはスウェーデンで固めた2管3リズムのクインテット。このグループのメンバーはほぼ一定しているが今回はドラムスが入れ替わった。これまで積極的にジャズの巨人達の軌跡を追って活動し、既にT・モンクやC・ミンガスがリリースされている。スウェーデンのジャズメンはよく過去の米国の偉大なジャズメンに焦点を当てた作品を作る。以前、他のグループがクリフォード・ブラウン作品集を出して紹介した事があった。いづれも単なる踏襲ではなく独自のコンセプションに基づいて作られた作品。このCDも緻密なアレンジがされていて単なるブローイングセッションでない所に新鮮味があり、硬派のサウンドが終始一貫支配する。アダカーのペットはミュートプレイでマイルスばりの鋭いアタックでさまる。テナーのヨアキム・ミルダーのテナーもコルトレーンライクなモーダルなサウンドで緊張感が漂い、随所にフィーチャーされる各人のソロも見事で技量は高い。曲は11曲。48年マイルス初期のリーダー作から50、60年代の曲が中心でスタンダードは無く全てマイルスのオリジナルである事が特長。マイルスの本質に迫ろうとする気概が感じられる。"BLUE IN GREEN""BUDO""CIRCLE IN THE ROUND""MILES AHEAD" FRAN-DANCE"など。

2007.5.31,6.1Stockholm

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