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2007年3月

2007年3月31日 (土)

バリトンサックスの第一人者原田忠幸

Img_0942 メジャーレーベルではまず作らないであろうバリトンサックスのワンホーンジャズ。本邦のバリトンの第一人者として君臨して来た原田忠幸のワンホーンジャズがマイナーレーベルのSaxから2002年にリリースされた。「原田忠幸/Midnight Sun」。バリトンジャズがあまり取上げられないのはソロイストが少ない事もあるがジャズの花形である、トランペットやテナー、アルトサックスに話題が集中してしまう事は否めない。そんな中、原田は楽歴の豊富さが示すように世界に通用する実力を持った数少ないバリトン奏者で紛れもなく本邦の第一人者である。「Midnight Sun」で原田をサポートするメンバーがすごい。盟友で日本のトップクラスのジャズメンのそうそうたる顔ぶれ。ピアノに小川俊彦、ギターに中牟礼貞則、ベースに稲葉国光と超贅沢な布陣。ドラムは若手の俊英高橋信之介という新旧混成のクインテットで興味が尽きない。原田の実にスムースな音色でゴリゴリ音のバリトンのイメージが薄らぐ程だ。全13曲。よく知られたスタンダードが中心、1曲デュオと無伴奏ソロが入る。他に原田がオミットしてギタートリオとソロピアノが各一曲を間に挟む構成。それにしてもジャケットカバーのださいデザイン何とかならないものか。原田の音楽性が自然体で表現され、サポート陣の好演と相まってバリトンジャズの優れた逸品として愛される作品と思う。

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2007年3月30日 (金)

正統派実力テナー奏者のジェリー・ウェルドン

Img_0941_1 ジェリー・ウェルドンという名前を聞いてもピンとこないかも知れない。ウェルドンはスイスのTCBレーベルから4枚のCDをリリースして人気を博した「THE N・Y HARDBOP QUINTET」(NYHBQ)のテナー奏者である。今回はNYHBPのメンバーでウェルドン自身がリーダーになってAMOSAYAレーベルからリリースされた「Jerry Weldon/MIDTOWN BLUES」中堅」クラスの実力者集団がハードバップを怒涛のように繰り広げて圧巻。NYHBQは表向きはリーダーを冠していないが実質はピアノのキース・サンダース。これをウェルドンの名義にしたもので中身はNYHBQだ。ウェルドンのテナーはD・ゴードンやH・モブレーの線を行くテナー。レギュラーコンボの強みで結束力は万全、安定したサウンドだ。B級ジャズメンの集まりとか揶揄されたりするがそんな言葉は虚構だ。堂々とハードバップを演じていて現代のジャズシーンを牽引していると思えるほどだ。4曲に参加しているジョー・ナグナレリはC・ブラウンを信望する正統派。音色の美しさと安定感は絶品。K・サンダースのピアノもB・パウエルの影響を受けていてバップ魂がひしひしと伝わる。全6曲。ウェルドンのオリジナル2曲にスタンダード2曲、J・マックリーンとK・サンダースの曲が各1曲の構成。一曲目のオリジナル"J&B"のマイナーブルースからハードバップ全開。これは忘れかけていた活きの良いモダンジャズを味わうには最適な演奏である。

Jerry Weldon(ts)Joe Magnarelli(tp)Keith Saunders(p)Bim Strasberg(b)Andy Watson(ds)1995.7.9 Fat Tuesdays、 NYC AMOSAYA AM-2535

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2007年3月29日 (木)

D・ガレスピーバンドの音楽監督マイク・ロンゴ

Img_0939_3 1960年代中期に巨匠ディジー・ガレスピーのバンドに参加し音楽監督を努めたマイク・ロンゴ。端正なピアノと正確なテクニックで御大の信頼は絶大で9年間在籍した。ロンゴは90年中期に自身のCAPを創設しこのレーベルに8枚のリーダー作がありうち2枚がトリオ盤だ。今回このうち2002年にリリースされたトリオのライブ盤を紹介します。「Mike Longo Trio/The Detroit International Jazz Festival」。M・ロンゴはガレスピーバンドに在籍した事で自身の音楽性の形成に大きな影響を受けた事は想像に難くない。CAPの前作ではガレスピーのトリビュート作品を作っているし今回のライブ盤でもガレスピーの3曲を取上げている事からも思い入れが伝わってくる。趣味が良くてグルービーかつブルージーさも持ち合わせて明快にスイングするタッチは見事。ドラムは過去にも共演しているレイ・モスカでコンビは絶妙。クレジットでは1枚のCDに19のトラックが収録されているが実質の演奏は9曲だ。演奏曲前後の曲紹介が各々トラック化されているため多いのだ。普通これらは演奏曲
の一部でこのような編集は初めてである。演奏の9曲はジャズメンの7曲にスタンダード2曲。ジャズメンの7曲の彼がいかにジャズの重みにかけた気迫が感じられる。ガレスピーの3曲は巨匠へのトリビュートと思える。やはりガレスピーの"Tin Tin Deo"や"A Night In Tunisia"が白眉だ。これは理屈抜きに自然体で気軽に楽しむ密度の高いピアノトリオとい
える。

Mike Longo(p)Santi Debriano(b)Ray Mosca(ds)2002.9.1録音

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2007年3月28日 (水)

ハードバップの隠れたスインガーJohn Marshall

Img_0937 モダンジャズの名匠ファッツ・ナバロやケニー・ドーハムをアイドルとしていたトランペッターのジョン・マーシャルは現在のジャズシーンではハードバッパーの最右翼に位置するジャズマンではないか。米国でのリリースが少ないため過小評価されているが実力は折り紙つき。今回は初期のリーダー作独Monsからリリースされた「John Marshall/Keep On Keepin' On」。いつものクインテット編成でフロントはアルトのジェシー・デービスを加えた2管3リズム。マーシャルはこの編成が気に入っているのかリーダー作の殆どがそうだ。これまでのアルバムは米VSOP、独Mons Organic Music、オランダBlue Jackなどあるが注目度は低く地味な存在だ。中音域を駆使した音色とハードバップのスピリットを込めたサウンドは王道行くスインガーである。ナバロなどの影響とC・パーカーからジャズの含蓄を学び伝統のバッパー精神を受け継いでいるのも強み。全8曲。自身のオリジナル3曲、スタンダード3曲のジャズメン2曲。1曲目"You"から急速調で乗る展開。スタンダード"The Thrill Is Gone"のミディアムスイングでスインガー振りを発揮する。オリジナル"Houston st. beat"はファンキーなロック調と多彩なプレイを聴かせる。ピアノのT・ハマーとは80年代からの盟友で多くのリーダー作に付き合っている仲、ガーランドばりのグルービーなバッキングでこのコンボの推進力になっている。ルディ・バン・ゲルダースタジオの録音で音の迫力も十分。これは現代のハードバップ最前線でモダンジャズのエキスが最大限に盛り込まれた演奏と思う。

John Marshall(tp)Jesse Davis(as)Tard Hammer(p)John Goldby(b)Leroy Williams(ds)1996.1.3録音 Mons MR 874 774

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2007年3月27日 (火)

忘れられていたTURK MAURO

Img_0933 人気と実力のミスマッチは世の常。テナー、バリトン奏者のTURK MAUROもその一人では無いか。TURK MAUROを語る上で話題に上る事がある。わずか2~3年の活動期間で10枚に満たないアルバムを残して消えたデンマークのレーベル「JAZZCRAFT」。その第一弾としてリリースされたのがT・マウロだった。マウロがジャズシーンで殆ど注目されなかっただけにそのリリースの手腕は賞賛された。今回紹介するCDはJAZZCRAFTから10年経過して仏Bloomdidoからリリースされた「TURK MAURO/LIVE IN PARIS」。マウロのリーダー作が皆欧州からリリースされるのも妙だ。マウロはビッグバンド畑が長くコンボでの活動少なかったのが影響しているのだろう。「LIVE IN PARIS」は2回のセッションが収められていてメンバーの主体は地元仏人ジャズメンだ。仏は元々ジャズが盛んな国、見事なコンビネーションプレイが展開される。マウロもテナー、バリトンのワンホーンとヴォーカルを絡めて思う存分爽快に吹ききっている。伝統を重視した主流派ジャズは正にモダンジャズの真髄を聴かせる。全8曲。マウロのオリジナル3曲、ジャズメン3曲、スタンダード2曲の構成。前半4曲がテナー、後半の4曲がバリトンでサウンドの聴き分けが出来る。豪快でズ太い音はソニー・ロリンズを思い起こさせるテナー本来の音色だ。これは寡作家マウロの久々のリーダー作と同時に彼の音楽性を知る上で格好のCDではないかと思う。

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2007年3月26日 (月)

生誕70年記念のミッシェル・サルダビー

Img_0935_1 フランス生まれのジャズピアニストのミッシェル・サルダビーは日本でもかなり人気が高い。1970年仏のDebsから出たMJQのサイドメンと吹き込んだリーダー作「Night Cap」で一躍スターの座についた。バップを加味したグルービーなピアノに魅力があり現在も健在である。今回紹介するのは仏PARIS JAZZ CORNERから出たM・サルダビーの生誕70年を祝賀する最新作でパリに於ける2枚組ライブ盤「MICHEL SARDABY TRIO NIGHT IN PARIS LIVE」。CD1に8曲、CD2に9曲の計17曲。いわずと知れた有名曲が並ぶ。いわば「モダンジャズ作品集」だ。単なるリクエスト演奏的な物では無く、70年の節目の集大成として全精力をつぎ込んだ入魂のプレイが随所に光る。スタンダード5曲、ジャズメン10曲、自身のオリジナル2曲。ジャズメンオリジナルを多く取り上げているのが特長で親しみ易さが魅力的。サルダビーの卓越したピアノにジャズのエッセンスが存分に詰込まれていてこれはサルダビーの歴史の節目を記録したものとして評価出来る作品と思う。

MICHEL SARDABY(P)REGGIE JOHNSON(b)JOHN BETSCH (ds)2005.4.21録音

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2007年3月25日 (日)

アルトの成長株iAN HENDRICKSON-SMITH

Img_0930_1 ジャズの輸入盤を扱っている店をネットでみていると毎回多くの新譜、再発、再入荷品がライナップされ正に玉石混交の状態。これでは好みの物を選択するには一苦労する。そんな中で見出した一人が若手のアルト奏者、iAN HENDRICKSON-SMITHである。米Sharp Nineレーベルからリリースされたリーダー作の「Up iN SMOKE!」スミスの他ピアノのデビッド・ヘイゼルタイン以下のリズムセクションによるワンホーンジャズである。ヘンドリックソンスミスのプレイが存分に発揮出来るフォーマットだ。聴いて見るとスミスはC・パーカー、S・スティット、J・マックリーンをアイドルとしていただけにバップの血を受け継いでいる音色とフレーズがにくい。マックリーンばりの情感を湛えたガッツのある音はただものではない。全9曲。ジャズメン4曲、スタンダード2曲に自身のオリジナル2曲他。B・ストレイホーンの"Chelsea Bridge"でムードを湛え、ブルー・ミッチェルの「BLUE'S MOODS」の人気曲"I'll Close My Eyes"はミディアムバウンスで心地よくスイングし好演。ピアノのヘイゼルタインのソロ、バッキングは好調で見事にスミスを鼓舞してセッションの完成度を高めている。スミスはすでに2作目もSharp Nineからリリースしており若手として益々期待される成長株に違いない。

Ian Hendrickson-Smith(as)David Hazeltine(p)Barak Mori(b)Joe Strasser(ds)2002.9.22,23録音

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2007年3月24日 (土)

愛着のあるトランペッターのコンテ・カンドリ

Img_0928 ウェストコースト・ジャズを語る上で絶対に欠かせないジャズマンにトランペッターのコンテ・カンドリがいる。C・カンデリは革新派ではないが時代を支えた愛すべきジャズマンであった。トランペットのスタイルは中庸を行くもので奇をてらう事無く正面突破の正攻法の演奏だ。C・カンドリの定番化しているアルバムはピアノのルー・レビーとの双頭名義のアトランティック盤「WEAT COAST WAILERS」(1955)と手書きのポートレートが印象的なモード盤「CONTE CANDOLI QUARTET」(1957)という古いアルバムになる。60年代初期にシェリー・マンコンボのサイドメンとして西海岸のジャズシーンの中心的人物として君臨し実力を高く評価され良質で記憶に残るアルバムを数多く残した。今回は晩年の作品でスイスのJHMからリリースされた「Conte Candoli meets The Joe Haider Trio」を紹介します。JHMレーベルは鬼才ジョー・ハイダーが主宰しているレーベル。カンドリはトリオをバックにワンホーンで人生の枯れた味わいを披露し、そのいぶし銀の良さは聴き逃せない出来映えである。全7曲。スタンダード3曲にジャズメンの4曲で全てよく知られた親しみのある曲。"What is this thing called love"から全開。"Darn that Dream"でのミュートプレイでは感情が実に豊か。パーカーの"Confirmation"バップサウンドを溌剌としたプレイに感動する。晩年は欧州での吹込みで健在ぶりが伝えられていたが2001年永眠した。愛着のある名プレーヤーとしてジャズ史に残るジャズメンではないかと思う。

Conte Candoli(tp)Joe Haider(p)Isla Eckinger(b) Wolfgang Haffner(ds)1994.3.20,21録音

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2007年3月23日 (金)

期待高まるテナー奏者岡田嘉満

Img_0909 岡田嘉満の名をネットで知った時どんなタイプのジャズマンなのか関心がわいた。2006年に自身の自主レーベルWoodsideからテナーによるワンホーンのデビュー盤がリリースされた。「SWINGIN'/YOSHIMITSU OKADA QUARTET」だ。カバーは赤白のツートンに彩られ大きく”SWINGIN'”の文字が目に入る、岡田が一心不乱にテナーを吹いている様子がアップに写りいかにも音が飛び出しそうなイメージ。聴いて見ると大正解。スイング感と太い音、しつこさもなく流麗さと適度に抑制された引き締った音色はハンク・モブレーを想い出してしまう。ひと頃熱中した時代の黒く熱気のあるサウンドだ。やたらとこ難しくなければ先鋭的とか革新的でないと思われるふしがあるがそんな事はない。ジャズはスイングと唄心がなければ人の心に感動を与えられない。岡田は感動を与える術と才能を持っている。全10曲自身のオリジナル2曲、ジャズメン5曲にスタンダード3曲でアップテンポ、ソローバラード、ボッサと多彩。C・ブラウン"Swingin'"C・パーカー"Ornithology"D・エリントン"Warm Valley"で正面から向き合って臆することなく堂々としたプレイを展開する。スローバラード"You Are Too Beautiful"は情感タップリと美しく唄いあげて印象に残る。リズムセクションも完璧に岡田をサポートして盛り上げる。これはモダンジャズをダイレクトに伝える出色の出来。これからの岡田の益々の活躍に期待がかかる。

岡田嘉満(ts)田村和大(p)池尻”ロッシー”洋史(d)高橋幹夫(ds)2005.6.15,16録音

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2007年3月22日 (木)

燃えるアルト奏者ヴィンセント・ハーリング

Img_0908 キャノンボール・アダレイの再来といわれ続けて来たアルト奏者のヴィンセント・ハーリング。力感のあるアルトで饒舌に吹きまくる様は正にキャノンボールを彷彿とさせる。ハーリングは兄を失ったナット・アダレイが新しく結成したバンドに見込まれて9年在籍し、一心同体の活躍で頭角を表した。この時期にナットのサイドメンとして9枚に上るアルバムを残して人気を不動のものとした。独立後はここでもルイ・ヘイズのキャノンボール・レガシー・バンドで活躍するなどキャノンボールとは縁は切れそうにない。今回、最新のリーダ作がHIGH NOTEから自身の4作目として2005年にリリースされた「VINCENT HERRING/ENDS AND MEANS」。ハーリングが新しい境地を開いた演奏で一心不乱に吹く彼の特長が出ている作品といえる。ワンホーンと若手の逸材トランペットのジェレミー・ペルトが加わった二つのセッション。このバンドのメンバーは過去にも共演し気心は知れている仲。ハーリングは持味のフルトーンでエネルギッシュにブローしジャズの熱い息吹を感じさせる。ペルトの若々しい溌剌としたプレイも見逃せない。全8曲、メンバーのオリジナル2曲、スタンダード4曲にジャズメンの2曲。スタンダードも従来の踏襲ではなく新しい解釈や複雑なリズムが今迄とは違う印象を受けた。

Vincent Herring(as)Jeremy Pelt(tp)Danny Grissett(p)Essiet Essiet(b)Joris Dudi(ds)2005.6録音

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2007年3月21日 (水)

大阪のピアノの巨人田中武久

Img_0907 大阪を拠点に永い間活躍しているベテランピアニストの田中武久はジャズ界の重鎮。知名度こそ全国区化していないがピアノライフ50年、知る人ぞ知る存在なのである。その証左に1995年独Enjaレーベルから名ドラマー、エンビン・ジョーンズとのセッションに抜擢されリリースされた。正に田中の潜在能力の高さを世界に示した力作と思う。田中は寡作家だ。1979年にトリオを自主制作しており、エルビン・ジョンーズが驚愕したといういわくつきのアルバム。幻化したLPは最近30年ぶりにCDで限定発売された。今回は2002年の最新作「A Morning Moon」のトリオ盤。メンバーは同じ関西出身で固め、共に旧知の仲。田中のピアノはR・ガーランド、W・ケリー、T・フラナガンなどのジャズ本流のピアノを数多く聴き込んでいるモダン派。国内外のジャズメンとのセッションを通して培ったスキルが底流にある。豊かな感性、スイング感、明快な唄心などはジャズのエッセンスを感じさせる。全8曲オリジナル4曲にスタンダード4曲。オリジナルはタイトルが実に個性的だがメロディが美しく印象に残る曲が多い。タイトルの”残月””桜吹雪の調べ””金は天下の廻りもの””苦しくもまた楽し”(邦訳記)などはユニークだ。”残月”はバラードで心にしみわたる程美しさに満ちた名曲。A・カルロスジョビンの”ZINGARO”はボッサナンバー。軽快なリズムが心地よく響く。田中の神がかり的なプレイを一度聴くと病みつきになる程の魔性が潜んでいる。

田中武久(p)神田芳郎(b)東原力哉(ds)録音日不明

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2007年3月20日 (火)

トランペットの大御所クラーク・テリー

Img_0906 百戦錬磨のトランペットの大ベテラン、クラーク・テリーが健在だ。ビッグバンド、スイング、モダンなどジャズの万能型プレヤー。長い歴史を物語るように吹込んだアルバムは数知れない。温かみのある音色と陽気に振舞うプレイは他の追随を許さない。比較的新しいライブ盤が独nagel heyerからリリースされた。「CLARK TERRY/HERR OBER」聴衆を前にベテランの味を存分に発揮して楽しませる。フロントのアルト奏者デイブ・グラッサーとは1995年以来のコンビ。ピアノの名手、ドン・フリードマン、ベースのマーカス・マクラーリンとは旧知の仲間でレコーディングもありグループのまとまりに不足はない。全11曲で自身のオリジナル3曲、ジャズメンのもの5曲スタンダード2曲他となっている。特にオリジナル"Herr Ober"では得意ののどを披露し聴衆との掛け合いで盛り上げるパフォーマンスもお手のものだ。"Nearness Of You"ではテーマをフリードマンが無伴奏ソロを奏でた後にテリーがテーマに入って来る所は最高だ。このコンボはフロント二人の熱演とフリードマンを中心としたリズムセクションの総合力だと思う。これは多くの人が理屈抜きにジャズの楽しさを味わうには最高の演奏ではないか。

Clark Terry(tp,flh,vo)Dave Glasser(as)Don Friedman(p)Marcus McLaurine(b)Sylvia Cuenca(ds)2000.5.20録音

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2007年3月19日 (月)

音の魔術師菅野邦彦

Img_0899 数多いジャズピアニストの中で突出した魅力を持った人といえば菅野邦彦をおいていない。類まれな才能の持主。60年代後半から70年代には飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍していたが、この所新録もなく近況が伝わってこないのは寂しい限りだ。70年代、菅野の絶頂期のアルバムはタクト、トリオ、オーディオ・ラボ、日本フォノグラム、TBMなどにあるが一部がCD化された以外廃盤のままだ。今回取上げるものはトリオ編成以外のアルバムから比較的珍しい管入りのアルバムを紹介します。タイトル通りの美脚が印象的なジャケットの「SUGANO KUNIHIKO QUARTET/SHINY STOCKINGS」。菅野のリズムセクションにアルト奏者の故菊池秀行が加わったアルバム。菅野の特長はパウエル派とかエバンス派などピアノスタイルのカテゴリーに入らない自身のスタイルをきっちり持っていることである。ダイナミックでドライブのきいたアドリブ、湧き出るアイディア、繊細な表現力はいつしか菅野の世界に魅了されてしまう。一時コンガを加えたスタイルがエロール・ガーナーの影響だとか言われたが彼の心の中にある「音楽の原点はハッピーである」との信念がそうさせたのだと思う。アルトの菊池秀行はパーカー派の過小評価されたプレヤー。情感のこもった流麗なソロは正に本職肌。全6曲、4曲のスタンダードにT・モンクとF・フォスターのタイトル曲の2曲。実力者4人の真価を発揮した熱演に感動さえ覚えてします。

菅野邦彦(p)菊池秀行(as)河上修(b)村上寛(ds)1976.3.28録音 PHILIPS FS-7013

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2007年3月18日 (日)

実力派テナー奏者のドン・メンザ

Img_0902 今年71歳になる白人実力派テナー奏者のドン・メンザ。大ベテランながら日本での知名度は今ひとつ浸透していない。キャリアは十分なもののバディ・リッチなどのビッグバンド畑での活動が長かったのが影響しているように思う。知名度は実力よりも、とかくアルバムの人気度で決まる傾向にある。残念な事にメンザには過去に人気を決定づける人気作がなく地味なプレヤーに甘んじていた。最近スイスのJHMレーベルからワンホーンの新作(1998)をリリースして健在振りを示した。今回はカナダSACKVILLEから在カナダのリズムセクションとのワンホーン「Don Menza=Pete Magadini/LIVE AT CLAUDIOS」を取上げる。このカルテット、実は1977年に一度レコーディングしている仲で久々のリユニオンになる。白人テナーといえばレスター派が多い中、メンザは黒人テナーの最右翼ソニー・ロリンズを敬愛している。豪放なトーンで堂々と吹く男性的なテナーは魅力十分。全7曲でメンバーのオリジナル3曲にジャズメンの曲3曲とスタンダード1曲。C・パーカーの"Confirmation"T・モンクの"I Mean You"でも自己の個性で自信に満ちたプレイが目を引く。リズムセクションの見事なバッキングでメンザをプッシュしている。メンザの自在にブローするテナーは正にモダンジャズの王道を行く演奏だ。

Don Menza(ts)Wray Downes(p)Dave Young(b)Pete Magadini(ds)1991.8.24録音

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2007年3月17日 (土)

ジャズ史に燦然と輝く世良譲

Img_0897_1 ジャズの持つハッピーさとエンジョイの両輪を追及し最高のエンターティナーとして君臨していた世良譲。 2004年2月惜しまれつつこの世を去った。ジャズを多くの人達に身近な音楽として発信し続けた功績は大きい。世良は60年代初頭のジャズ発展期からジャズシーンの第一線に立って日本のジャズ史を飾って来た。昨秋に追悼盤として2枚組CD「YUZURU SERA/TREASURE」がリリースされた。DISK1に10曲、DISK2に9曲の計19曲。世良の歴史を物語る豪華なセッションの数々。共演者は20名以上にのぼる。オムニバス盤だが帯には「秘蔵音源収録アルバム」と銘打ってるがどれが秘蔵だか表記がない。テクニックの正確さ、抜群なリズム感、多彩なアイディアなどは天性のもので偉大さがわかる。全19曲ジャズの人気曲から良く知られたスタンダード、自身のオリジナルで名曲の”Max Blues”など多彩な選曲。ソロ、トリオ、管入りの多様な編成で世良の魅力の全貌が聴ける。残念なのは各トラック毎のパーソネルと録音日の表記がない事とトラックも世良にスポットを当てているためテープ編集で他のソロイストがカットされている部分があり音源の完全性に疑問が残る。これらを差し引いても世良の音楽人生の集大成として歴史的遺産には変わりはない。

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2007年3月16日 (金)

英を代表するアルト奏者、ピーター・キング

Img_0893 英のジャズシーンでは渡英するジャズメンとの共演盤が日本でも結構馴染み深い。イギリスでは古くは、豪快テナーのタビー・ヘイズや英のマイルスコンボ、ドン・レンデル=イアン・カー・クインテットなどが浮かぶ。しかし忘れる事が出来ないのがアルトサックスのピーター・キング。英のみならず欧州でも屈指のアルト奏者である。今回はキングが1996年にリリースした「Peter King Quintet/SPEED TRAP」。パーカー派のマックリーンやフィル・ウッズの豊かな情感と饒舌で完璧なアルトを吹き鳴らすテクニックには凄さを感じる。彼の吹込みは英SPOTLITEに多くあるがCD化されていないようだ。従って中々耳に出来ないのが残念である。SPEED TRAPは新主流派の革新性を全面に出したサウンドを披露して熱演している。ジェラルド・プレゼンサーとは旧知の仲でコンビもしっくりいっており彼のブリリアントなソロは迫力十分で圧倒される。全6曲、キングのオリジナル2曲他4曲、コルトレーンの”Neima”は雰囲気が出ていて最高なプレイ。10分を超える長尺なトラックが多く息詰まるソロの応酬が堪能出来る。新しさを追求するキングの現在の姿を知る上では格好の演奏といえる。

Peter King(as)Gerard Presencer(tp)Steve Melling(p)Alec Dankworth(b)Steven Keogh(ds)1994.9 Ronnie Scott's Club 録音

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2007年3月15日 (木)

Tony Pacini早くも第3弾リリース

Img_0895 日本生まれのピアニスト、トニー・パシーニの勢いが止まらない。2006年第3弾として満を持してリリースしたホヤホヤのライブ盤「Tony Pacini Trio/LIVE AT JIMMY MAK'S」に期待が集まる。デビュー盤「I'll Close My Eyes」に人気が沸騰して入手出来ず2回目のプレスに入っている状態。なぜパシーニに注目が集まったのか。忘れられていたこ難しい事を抜きに本物の音と伝統を継承し素直にジャズを演じた結果ではないか。猫も杓子もエバンス派に傾倒する中、ジャズ魂が希薄で心に残るものが少ないのも事実。パシーニはジャズのエンジョイ、グルーブ、ブルージーさを合わせ持った才能の持主、これが心を捉えたといえる。一度聴けば本物の音の豊かさに魅了されてしまう。トリオのメンバーはデビュー盤と同一、ティームワークは万全。リラックスしてのびのびとプレイしている姿が投影される。全9曲、マイルスの"Freddie Freeloader"からエンジン全開。スタンダード3曲、オリジナル3曲にジャズメンの曲3曲とバランスの良い構成で緩急自在のプレイは見事。1曲間に挟むピアノソロは前作でソロピアノ集を出しているのでさすがと思わせる。これは今が旬のピアニストの全貌を知るには最適な演奏である。

Tony Pacini(p)Ed Bennett(b)Tim Rap(ds)2006.8.9録音

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2007年3月14日 (水)

ハードバップの醍醐味諸田富男SEXTET

Img_0890 還暦間近のベテランドラマー諸田富男が初リーダ作を出した。50~60年代初頭のモダンジャズの古き良き時代を象徴する熱気ムンムンのハードバップが今に蘇る熱演のライブ2枚。取上げるCDは2006年リリースされた2枚目の「TOMMY a GOGO/Tomio Morota Sextet Live at  J」。これは新宿のライブハウス”J”におけるライブ盤。フロントラインはペット、アルト、テナーの3管の3リズムに曲によりゲストが参加し彩りを添える。諸田はアート・ブレーキーのように長くコンボを維持し有能なジャズメンを排出してきたという。ここでも将来を担う若いジャズメンを擁して溌剌したプレイを展開し見事なリーダーシップを発揮している。このバンドの音楽監督にトランペットの宮本やすしを配置し全般的な編曲を担当して見事なファンキーサウンドを演出する。先にリリースされた「SIR HORACE」がホレス・シルバーに2作目はジャズメッセンジャーズにスポットを当てたのが特色になっている。2作目はベニー・ゴルソンが音楽監督をしていた時代のヒット曲がズラリ。”Along Came Betty""Are You Real""Fair Weather""I Remember Crifford"の4曲が目を引く。その他B・ティモンズの"Moanin'" K・ドーハムの"Lotus Blossom"など人気曲が目白押し。モダンジャズの一時代を構築した名手達の遺産を本邦の気鋭の若手が全精力を傾注した演奏は聴き応十分。

諸田富雄(ds、Leader)宮本やすし(tp、Music Director)宮崎勝央(as)岡崎正典(ts、Arranger)海野雅威(p)矢野伸行(b)ゲスト青木タイセイ(tb)竹内郁人(as)石田衛(p)2004.12.20録音

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2007年3月13日 (火)

ハードバップの隠れた存在、ラリー・ヴコヴィッチ

Img_0891 ラリー・ヴコヴィッチは往年のバップピアノを今に伝える数少ないピアニストの一人。名前こそ聞きなれないがピアノのタッチを聴けば半端でない堂々たる貫禄のピアノでビバップの歴史を刻んできた風格さえ感じさせる。ヴコヴィッチは旧ユーゴスラビアの出身。10代なかばに家族と米西海岸に移住した。その頃からC・パーカーの音楽を聴いていたというから早くからバップの洗礼を受け、B・パウエル、H・ジョーンズ、T・フラナガン、B・ハリスなどを信望していたという。今回は2005年の最新作「Larry Vuckvich Trio/STREET SCENE」を取上げる。タイトルにトリオと名乗るのは11作目にして初めてで本領を発揮した作品だ。彼の名を初めて耳にしたのは英HOT HOUSEレーベルから1985年に出た「BLUES FOR RED」。ピアニスト、レッド・ガーランドに捧げたものだ。フロントラインがダスコ・ゴイコヴィッチ、チャールス・マックファーソンという魅力ある顔合せだったので購入したのだが未知数のヴコヴィッチのピアノの凄さに脱帽してしまい、以来良く聴くようになった。最新盤はベースに20年来の盟友ラリー・グレナディール、ドラムにアキラ・タナという万全な布陣。全13曲、想いを綴ったオリジナル3曲にスタンダードやジャズメンの曲など多彩な選曲。ドッシリとした響きが胸にせまるり至福のサウンドである。R・ブラウン、P・チェンバースに影響を受けたグレナディールのベースが力強く鼓舞する。曲によりコンガ、ボンゴが加わる。これは現代にハードバップを伝える優れたピアノトリオである。

Larry Vukovich(p)Larry Grenadier(b)Akira Tana(ds)Hector Lugo(cng) 4曲、Vince Delgado(bng)2曲
2005.9.20,21録音 Tetrachord Music 684

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2007年3月12日 (月)

きれいな音色、アルトのジミー・ヒル

Img_0879 このCDを入手する迄名前すら知らなかったジミー・ヒル。自主制作の2枚目「Jimmy Hill Quartet/Friends」はアルトのワンホーンで爽快に演奏していて気持ちが良い。1stアルバムの「We Small Hours・・・」を聴いてアルトのクリアな音色に脱帽した。黒人ながら、昔のデーブ・ブルーベック・カルテットのアルト奏者、ポール・デスモンドを思い起こさせる音色だ。アルトサックスも色々な音色があるがこの人のはひときわ澄み切っていてきれいな音。40年代から活動しているのでベテランだ。女性ヴォーカリストのエッタ・ジョーンズと長い間行動を共にしていたという。この2作目の「Frends」は彼女に捧げられている。1作目は全曲スタンダードだったが2作目ではホレス・シルバーの”Sister Sadie””Song For My Father”ハービー・ハンコックの”Watermeron Man”のジャズメンオリジナルを取上げていてクールなヒルがかなりアグレッシブになっているのが印象に残る。ピアノのHiroshi Yamazakiは大阪の出身。1986年にNYに渡って現地で活動している逸材、今はヒルのコンボのレギュラーメンバー。正統派のモダンピアノを駆使してこのグループのキーマン的存在。先の3曲の他スタンダード9曲で親しみやすい。名こそマイナーかも知れないが力を抜いた自然体でエキスが一杯詰まった音楽に接すると本当に心が洗われる思いがする。

Jimmy Hill(as)Hiroshi Yamazaki(p)Joe Ragusa(b)Fred Hunter(ds)2001.2.24録音

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2007年3月11日 (日)

エラの歌伴ポール・スミス復活

Img_0883ヴァーヴ盤の 「ELLA IN BERLIN」は不世出の女性ジャズヴォーカリスト、エラ・フィッツジェラルドのアルバムである。約50年前に録音されたもので彼女のアルバムの中でも最右翼に挙げられるものだ。ここでバックをつとめているのがピアノのリーダー、ポール・スミスのカルテットである。そのポール・スミスの久々のトリオ盤がでた。暫くジャズシーンから遠ざかっていたので新録には食指が動く。ブロードウェイミュージカルを素材にし、2001年にリリースした「JAZZ ON BROADWAY」だ。メンバーはポール・スミスの他ベース、ジム・デ・ユリオ、ドラムはエバンストリオ最後のメンバーのジョー・ラバーベラのベストメンバー。この種のもの過去にも存在したがこれは安易な企画物ではなく立派なジャズである。曲はいわゆるスタンダードなのでなじみ深いものばかり。スミスの衰え知らずの運指に圧倒されてしまう。ひところのO・ピーターソン、R・ブラウン、E・シグペンの黄金トリオを思い浮かべる程の絶妙のドライブ感。このあたりのツボを心得たうまさは抜群である。ラバーベラのブラシュワークと重厚なベースワークが推進力になっている。全10曲、R・ロジャース。G・ガーシュインが中心。”My Favorite Things””Hello Young Lovers””Falling In Love With Love”などどれも理屈抜きに楽しさ満載のピアノトリオである。

Paul Smith(p)Jim De Julio(B)Joe La Barbera(ds)2000.5録音 Recording Arts 5504-2

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2007年3月10日 (土)

ウォルター・ブッカーのリーダー作

Img_0880 多彩なジャズメンと共演して来たベテランベーシストのウォルター・ブッカー。キャノンボール・アダレイコンボの最後のベーシストだった事でも知られている。これまでの共演はドナルド・バード、スタン・ゲッツ、ソニー・ロリンズ、サラ・ボーン、モード派ファラオ・サンダース等々多彩な顔ぶれだ。ベース奏者のリーダー作はC・ミンガス、P・チェンバース、R・ブラウン、S・ジョーンズなど名を成したプレヤーが多い。これに比べればW・ブッカーは地味に映る。しかし多くのジャズメンとの共演が物語るようにブッカーにはジャズメンの厚い信頼があるのだろう。今回のリーダー作「WALTER BOOKER QUINTET/BOOKIE'S COOKBOOK」を取上げます。フロントラインにはトランペットにマーカス・ベルグレイブ、バリトンのセシル・ペインと渋い面々にギターの参加が功を奏している。この辺り、ネームバリューに捉われない実力本位の見事な布陣。全6曲、メンバーのオリジナル3曲にパーカー、E・ホープ等の曲。ブッカーの”PETE'S ROCK”でのベルグレイブのミュートとギターの絡みはミステリアスな雰囲気を醸し出す。マリガン~ベーカーラインのサウンドも聴かれる。ピアノレスの方がサウンド的には新鮮味を覚える。フロント陣の充実がこのCDの魅力を格段に増している。

Walter Booker(b)Marcus Belgrave(tp)Cecil Payne(bs)Roni Ben-Hur(g)Leroy Willams(ds)Guest Larry Willis(p)1999.9録音

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2007年3月 9日 (金)

地味なバリトン奏者チャールス・デービス

Img_0881 チャールス・デービスという名前を聞いてピンと来た方はどの位いるだろうか。トランペッター、ケニー・ドーハムのJARO盤「The Arrival Of Kenny Dorham」TIME盤「JAZZ CONTEMPORARY」でバリトンサックスを吹いていたのがチャールス・デービスなのだがさして目立った存在ではなかった。バリトン奏者はジェリー・マリガン、ペッパー・アダムスの大物、ベテランのセシル・ペイン、中堅、ニック・ブリグノラなどが知られているがチャールス・デービスはこれに比べ明らかに地味な存在だ。突如として1990年伊REDレーベルからリーダー作「REFLECTIONS」をバリー・ハリスのトリオを迎えてリリースしテナーのワンホーンで健在振りを示した。又、2002年Reservoirからバリー・ハリスのリーダー作他2枚のサイドメンとして参加していた。この2枚、いずれもテナー1本を吹き通している。ハリスの共演ではテナーしか吹かないようだがテナーはハリスの意向なのかも知れない。こうした中久々のリーダー作「BLUE GARDENIA」が出た。名手シダー・ウォルトン・トリオをバックにワンホーンでテナーと本来のバリトンを持ち替えてプレイしている。最近はテナーを吹く機会が多いようだがバリトンの方が音の滑らかさと安定度からいって断然バリトンサックスが良い。このワンホーンではシダー・ウォルトン以下のリズムセクションが全体を引き締めて緊張感のあるサウンドにしている。サイドメンと違ってリーダ作との自信も感じられ、デービスの近年のベストプレイではないかと思う。全8曲でデービスは前後半の4曲にテナーとバリトンを吹き分けている。オリジナル2曲、スタンダード4曲の他珍しく、ミシェル・サルダビーの曲を取上げている。このCDはベービスの近年のベストプレイではないか。

Charles Davis(ts、bs)Cedar Walton(p)Peter Washington(b)Joe Farnsworth(ds)2002.2.26録音

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2007年3月 8日 (木)

超ベテランが燃えている

Img_0871_1 幾度となく来日してすっかり馴染み深くなったトランペッターのダスコ・ゴイコビッチ。これまで欧州、米国と又に掛けて縦横無尽の演奏活動を続けて来た。ダスコがリリースした音源は初期のものからレア物迄殆ど発掘され無数にのぼる。今回は1994年独の「Dusk Gojkvic・Gianni Basso Quintet/Live at Birdland・Neuburg」を紹介します。フロントはダスコと同年輩、伊屈指のテナーマン、ジアンニ・バッソとの双頭バンド。共に今年76歳になる超ベテランである。メンバーは他に来日したスロベニア出身の若手ピアニストのピーター・ミケリッチ、仏のベーシスト、ルイジ・トラサルディ、旧知のドラマー、アルビン・クイーンの5人。ミュートではマイルスばりに鋭くセンシティブに溢れたソロ、オープンで吹けばメロディアスな温かみのある音色は魅力的である。ダスコはコンポーザーとしても一流で印象に残る名曲を多く残している。"In The Sign Of Lybra""Inga""Soul Connection"など哀愁を湛えたメロディが日本人にピッタリ合う。ダスコと組むバッソもレスター系のスムースな音色がダスコのトランペットとうまくマッチして絶妙のサウンドに仕上がっている。ミケリッチのピアノはケリー、ガーランド、ティモンズに影響を受けたモダンピアノが冴える。全8曲2人のオリジナル6曲にスタンダード2曲。マット・デニスの"Everything Happens To Me"と先のオリジナル"In The Sign Of Lybra"のダスコのミュートプレイはさすがで聴き惚れてしまう。

Dusko Gojkovic(tp,frh)Gianni Basso(ts)Peter Michelich(p)Luigi Trussardi(b)Alvin Queen(ds)1994.11.26録音

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2007年3月 7日 (水)

ハードバップ路線の主役ヴァレリー・ポノマレフ

Img_0870 ひたすらハードバップ路線を推進するトランペッターのヴァレリー・ポノマレフ。ベテランの域に達しながら第一線での活躍は貴重な存在。1970年中期から名門アート・ブレーキーとジャズメッセンジャーズに在籍し9枚のアルバムを残した。中ではCONCORDの「IN THIS KORNER」が印象に残る。80年にはウィントン・マルサリスと変わり自己の「Universal Language」を名乗り独立。RESERVOIRレーベルには1985年以降7枚のCDをリリースしてRESERVOIRの看板プレヤーになっている。今回は6枚目リーダー作の「The Messenger」を取上げる。ポノマレフの音楽的な原点はジャズメッセンジャーズ時代に培ったもの。クリフォード・ブラウンライクのヴァイタリティ溢れたブリリアントなソロは健在でポノマレフの音楽的特長を表している。ポノマレフは演奏者であると同時に作曲者でもある。母国に因んだ曲を多く書く。ここでも”Messenger From Russia””Escape From GorkiPark”を書き、共になじみやすいメロディ。全7曲、6曲はポンポマレフのオリジナル。唯一スタンダードである、クリフォード・ブラウンが1955年ストリングス入りで演奏している、H・カーマイケルの”Star Dust”はバラードを情感タップリと唄いあげて印象的。若手のマイケル・カーンとベテランジミー・コブも良く、ハードバップの良さと愛着を感じさせる演奏。

VALERY PONOMAREV(tp)MICHAEL KARN(ts)SID SIMMONS(p)MARTIN ZENKER(b)JIMMY COBB(ds)2000.8.28録音

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2007年3月 6日 (火)

西海岸で活躍するベーシストEd Bennett

Img_0866 米西海岸のオレゴン州にあるマイナーレーベル「SAPHU」はベーシストのエド・ベネットが主宰している。エド・ベネットは注目の新人ピアニスト、トニー・パシーニ・トリオのベーシストとして知られている。そのSAPHUからリーダー作「Blues For Hamp」を紹介します。フォーマットはベーストリオではあるがピアノが全面的にフィチュアーされているのでピアノトリオの感覚である。ジャズの原点であるスイング感がタップリ詰込まれた極上のトリオとして十分に楽しめる作品。中心はピアノのケント・グレン。殆ど西海岸で活動していたので一般的な認知度は高くはなかった。エルモ・ホープやバッド・パウエル、ジョー・オーバニーなどのピアニストに影響を受けたというだけあって伝統を駆使した正統派のピアノを弾く。そのグレンも2004年に他界してしまったがこれはグレンが本領を発揮した作品といえるもの。白眉は4曲の自身のオリジナルでタイトル曲はハンプトン・ホーズに他はジョージ・ウォーリントン、ハービー・ニコルスなどのピアニストに捧げられている。ガーランドのように明快にスイングし快適である。全12曲、C・パーカー、G・グライス、R・ウェストンなどジャズメンオリジナル4曲にスタンダード2曲とエド・ベネットのオリジナル2曲。ベネットも随所に重厚なソロ、バッキングを展開し、トリオのコンビネーションも良く聴き所は多い。米国ではあまり陽の目を見ないが優れた演奏である。

ED BENNETT(b)KENT GLENN(p)DICK BERK(ds)1992.12.14,15録音

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2007年3月 5日 (月)

カーティス・フラー久々の新作

Img_0865 ハードバップジャズを継承するトロンボーンのカーティス・フラー。サボイ盤「ブルースエット」でメローなゴルソンハーモニーに魅了され、モードに変身したアート・ブレーキーの3管ハーモニーの一翼を担い不動の人気を得た。滑らかさに欠けたカスレ音の独特の音色だがツボにはまった時はフラーの世界にはまり込んでしまう。知名度が上がった一因にアルバムのヒット作が影響している事は確かだ。前述の他に「サウス・アメリカンクッキン」「スライディング・イージー」「ボス・オブ・ソウルストリーム・トロンボーン」など。トミー・フラナガンなどの趣味の良い実力者をサイドメンに迎えたアルバムだ。これらは皆50~60年代に集中しておりフラーが最も脂が乗っていたといえる。その後ジャズシーンから遠のいていたがここに来て新録が出始めた。「CURTIS FULLER/keep it simple」もその一つ。中堅、若手と組んでベテランの風格さえ感じさせる。往年の凄さはなくなっているが老練のうまみが加わっている。全10曲、過去に名演があるオリジナル”A RABIA””A LA MODE”の再演、他2曲のオリジナル。その他メンバーのオリジナルやスタンダード4曲を占める。テナーのジェイボン・ジャックソンのテナーの斬新なサウンドがこのCDを魅力的なものにしている。
Curtis Fuller(tb)Javon Jackson(ts)Doug Carn(p)Rodney Jordan(b)Fritz Wise(ds)2003.9.28,29録音

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2007年3月 4日 (日)

こだわりのハードバップ、ルイ・ヘイズ

Img_0863 スイスにある「TCB」レーベルのagbシリーズはハードバップの宝庫。主宰しているのはドラマー、ピーター・シュミドリンで良質なジャズを多数排出している。ジャズのスタイルをCDの背表紙で識別しているのが特徴でハードバップは「赤」だ。今では多彩なジャズメンのカタログがあるが1950年代からH・シルバー、C・アダレイ、O・ピーターソンのトップコンボのドラマーとして君臨してきたルイ・ヘイズ。TCBのagbシリーズを象徴するように3枚リリースされている。中でも「Louis Hayes Quintet/the candy man」が良い。他は「Quintessential Lou」「Dreamin of Cannonball」の2枚である。アートブレーキー亡き後ジャズスピリットに溢れた熱気がムンムンするハードバップが少ない中、ジャズ界を牽引するルイの気力充実の奮闘振りが目につく。「the candy man」は有能な中堅、若手を擁して活力旺盛なミュリンズ、バートンのモーダルなソロが説得力を増す。ルイの旧知、ピアノのヘイゼルタインはキーマン的働きで盛り上げる。全10曲、ジャズメンオリジナル5曲とメンバーのオリジナル3曲それにスタンダード2曲の構成。中でもジャズメンのL・モーガンを2曲、H・シルバー2曲が目をひく。風格の出てきたヘイズのドラミングが全体を統率する。
Louis Hayes(ds)Riley Mullins(tp)Abraham Burton(ts)Dave Hazeltine(p)Santi DeBriano(b)
1999.11.21,22録音

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2007年3月 3日 (土)

LUPIN THE THIRD 「JAZZ」と大野雄二

Img_0860_1 ルパン三世のジャズ版LUPIN THE  THIRD「JAZZ」シリーズで圧倒的な支持を受けているピアニストの大野雄二。シリーズの人気を反映してか、これ迄にCDが10作も出ている。中でも大野雄二のピアノの本質が最も現れ、得意のスタンダードを存分にプレイした「PLAY THE ”STANDARDS”」を推薦する。大野は作、編曲者と思われがちだがれっきとした演奏者である。ソニー・クラークをピアノの原点として常にモダンジャズの主流を歩んできた。一時期のCM、TV、映画から近年再び古巣に復帰して気力充実、益々磨きがかかっている。メロディアスなフレーズとスタンダードに於けるノリの良さは天下一品で他の追随を許さないうまさがある。最近は気鋭の若者とLupintic Fiveを率いての活動に期待がかかる。以前赤レンガ倉庫にあるライブハウスに大野トリオを聴きに行ったが若いジャズファンで溢れかえって驚いた記憶がある。ルパンジャズが着実に若者の心を捉えた表れではないか。ジャズを一部の人のものから多くの人が身近に聴けるようになった功績は大きい。PLAY THE ”STADARS”は全10曲、 8曲は”C Jam Blues””Autumn Leaves”など、よく知られたスタンダードと2曲にルパンの人気曲。アグレッシブとは無縁で気張らず自然体でのプレイが絶妙。”ルパン三世のテーマ”は文句なし。このCDはリラクゼーションの中にジャズのエキスが濃縮されている。

大野雄二(p)俵山昌之(b)村田憲一郎(ds)2003.4.2,3録音

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2007年3月 2日 (金)

イタリアジャズが元気

Img_0856 イタリアの人気ハードバップコンボ「HIGH FIVE QUINTET」の花形トランペッターのファブリシオ・ボッソとイタリア、テナー界の重鎮ジアンニ・バッソとの新旧の顔合わせによる魅力満載のCDが出ている。伊Philologyから主題「LINE FOR LYONS」副題として「Remembering Chet&Jeru Chapter 2」とありチェット・ベイカーとジェリー・マリガンの思い出である。chapter1は主題「Five Brothers」としてリリースされている。しかしベイカー、マリガンと表記されていても50年代のピアノレスカルテットのイメージは希薄で再現ではない。ピアノを加えたウェストコーストサウンドの様相。Philology、余程この二人のコンビが気に入ったのか4枚もリリースしている。このCD、ボッソが参加しているが「HIGH FIVE QUINTET」のようなエネルギッシュで溌剌としたものではない。大人のジャズの風情といった印象だ。ボッソのインテンポ、バラードに於けるテクニックはさすがで大物の片鱗を随所に見せてアルバムの価値を高めている。ボッソもゲッツ風のソロを年齢を感じさせない気力溢れるプレイを展開する。これは肩の凝らない楽しめるCDである。
Fabrizio Bosso(tp)Gianni Basso(ts)Andrea Pozza(p)Luciano Milanese(b)Stefano Bagnoli(ds)2005.4.6録音

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2007年3月 1日 (木)

欧州最前線のハードバップコンボ

Img_0858 50年代後半から60年代初期に欧州に伝説的なバップバンドが存在していた。オランダの「DIAMOND Five」である。イーストコーストのコンボと遜色ない実力を持っていたグループ。そのリーダーがシーズ・スリンガーでオランダ屈指のピアニストで今も健在である。そのスリンガーが再び自己のバンド「BUDDIES IN SOUL」を結成してレコーディングしたのが”HAPPY TIMES”である。2ホーン3リズムのバップ編成。ピアニスト以外は中堅の実力者で固めている。ユニークなバンド名は名曲”BODY&SOUL”にヒントを得たという。オランダBLUE JACKレーベルは古いテープの掘り起こしを行っているが今回のような新録を並行して行っており期待できるレーベルである。スリンガーの経歴がすごい。渡欧してきたジャズメンとの計り知れない共演とレコーディング。D・ガレスピー、B・ウェブスター、D・ゴードン、H・ハバード、C・ジョーダン等多彩。”HAPPY TIMES”は全10曲、H・シルバー、J・グリフィン、H・ハバードなどジャズメンのオリジナル曲とメンバーのオリジナルで構成。フロント陣のソロの迫力は圧巻。スリンガーは年齢を感じさせないバッキングで鼓舞し新しいサウンドが随所にほとばしり緊張感を高める。これは正に欧州ハードバップの最前線を行く作品。
Cees Slinger(p)Ruud Breuls(tp)Simon Rigter(ts)Johan Plomp(b)Joost Patocka(ds)2002.3.20録音 BLUE JACK BJJR 008

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